文化は職人が造る

 文化は職人が造ると言い切ってもいい。建築現場を覗いてみたら誰でもそう思うにちがいない。設計事務所のわがまま、家主のわがまま、施工業者のわがままを最終的に聞き入れて、形にするのは、職人です。私の経験からして、外部の良し悪しは型枠大工にかかっていて、内部の仕上げの良し悪しは木工の大工にかかっていると思われます。今、H邸の木工大工の職人(昔の言い方で言えば棟梁)と話す機会がありますが、彼の長年身につけたスケ−ル感、と納まりの技術には、感動することが多々あります。材料を使うときのスケ−ル感などは勉強になることが多い。O邸の木工職人はわからないことがあると、すぐ携帯に電話をかけてきます。私は現場で迷った時の最終判断には、職人の意見を聞くことにしています。すばらしいアイディアを聞けることが多いからです。職人さんを大事にしましょう。そうすれば、いい家が造れますよ。
 直接家を造るのは、施工会社でもない、設計事務所でもない。それが出来るのは、大工さん(職人)さんだけです。そういう意味で私は「文化はどの時代でも職人さんが造る」と思うのです。これからの文化を大事にするのでしら、職人さんを大事にし、職人さんが生活しやすい世の中にしなければならないと思います。